ネイバーブログ・カフェのステッカー市場の仕組みと成長
ネイバーブログの記事を読んでいると、似たような場面にたびたび出会います。同じ人が書いた文章なのに、文末には笑うウサギや泣くネコ、拍手するクマが次々と登場します。
こうしたキャラクターは装飾に見えますが、実際には小さな商品です。誰かが制作し、ネイバーとOGQが審査や販売を担い、ユーザーは必要な感情を選んで購入します。
ネイバーブログ・カフェのステッカー市場は、かわいいイラストのコレクションではなく、クリエイターとプラットフォーム、ユーザーがかみ合って成り立つ取引の仕組みです。
ステッカーはどのようにネイバーに登場したのか
ネイバーOGQマーケットは、2018年5月2日にスタートしました。当時、ネイバーとOGQはステッカーだけでなく、画像、動画、音源、フォントまで、文章を彩る素材を売買できるマーケットをつくると発表しました。
まずはネイバーブログの素材として提供し、その後、コメントやトークトークなどへ利用範囲を広げる計画も示されました。ネイバーの公式発表によると、当時のOGQには800万人のグローバルクリエイターがいました。
スタート時点から、方向性は明確でした。ネイバーがすべてのステッカーを直接制作するのではなく、クリエイターが投稿したコンテンツをネイバーのサービス内で使えるようにする仕組みです。
この仕組みは、ネイバーが2017年にOGQへ75億ウォンを投資した背景にもつながっています。当時のOGQは、作家350万人、累計コンテンツダウンロード数16億件、月平均コンテンツ利用数3,000万件以上を記録していました。これらは、ネイバーが投資時に公開した資料に基づく数字です。
ただし、この数字を現在のネイバーブログ用ステッカーの販売数と捉えてはいけません。OGQ全体のプラットフォームに関する数値だからです。数字が大きく見えるからといって、市場の全体像まで見えてくるわけではありません。
ネイバーブログとカフェで見えているのは、市場の一部にすぎない
ユーザーから見れば、利用の流れはシンプルです。記事を書いている途中でステッカーボタンを押し、気に入ったイラストを選んで、無料でダウンロードするか購入します。
しかし、クリエイター側には、その前にいくつもの工程があります。
- ステッカーのファイルとタイトルを用意する。
- OGQクリエイタースタジオに登録する。
- 審査を通過した後、販売を始める。
- 販売状況とファンの反応を確認する。
- 定められた基準に従って精算を申請する。
OGQの公式クリエイター向けガイドでは、コンテンツ管理、収益管理、販売状況、ファン管理の機能がそれぞれ分けられています。販売して終わり、売上だけを受け取る仕組みではありません。どのコンテンツが、どのマーケットで売れたのかまで確認できる、クリエイター向けの管理画面が用意されています。
ステッカーがよく売れたということは、イラストがかわいいという意味だけではありません。タイトルが検索されるか、ブログ記事で実際に使いやすいか、作家名を覚えてもらえるか。そうした要素が一体となって機能したということです。
最近の人気ランキングに見られる意外な共通点
現在のネイバーOGQマーケットの人気チャートには、キャラクター名だけを冠した商品と並んで、「グルメレビュー」「公取委の文言」「ブログ装飾」のように、用途を直接示すステッカーも数多く掲載されています。チャートは当日または直近24時間の販売数と閲覧数をもとに集計され、表示されるのは直近6カ月分のデータです。
これは少し意外な点です。ステッカー市場で最も強い商品が、必ずしも最も有名なキャラクターとは限りません。ブログを書く人が日々繰り返す作業を減らしてくれる商品も、長く生き残ります。
「おいしいです」「自分のお金で購入しました」「ご訪問ありがとうございます」といった表現は、革新的な創作には見えないかもしれません。それでもユーザーは、一度使って終わる装飾より、記事を書くたびにすぐ取り出せる道具にお金を払います。
お金はどこから生まれ、どこで減るのか
マーケットの基本的な収益構造は、販売金額をクリエイターとプラットフォームで分け合う方式です。現在のOGQマーケット利用規約では、自作コンテンツのクリエイター取り分を、ランクに応じてGeneral 50%、Pro 60%、Star 70%と定めています。決済手数料や外部流通チャネルの手数料がある場合は、先に差し引かれることがあります。また、韓国の個人クリエイターには、支払い前に3.3%の源泉徴収が行われます。
この数字だけを見て、「70%も受け取れるなら、かなり手元に残りそうだ」と考えるのは早計です。販売価格から決済にかかる費用が差し引かれ、税金も引かれます。販売数が少なければ、精算を申請できる金額に達するまでにも時間がかかります。
ネイバーOGQマーケットの精算申請基準額は3万ウォンです。精算期間もマーケットごとの基準日に応じて計算されるため、今日売れた商品が今日そのまま口座に入金される仕組みではありません。
もう一つ見ておきたいのが、無料ステッカーです。無料商品は直接的な売上を生みませんが、作家名を知ってもらい、有料商品へ誘導する入口になります。無料と有料を単純に良し悪しで分けてしまうと、市場の仕組みを見誤ることになります。
成長は販売額よりも利用場面に先に表れる
ネイバーは2024年、OGQ関連資料の中で、著作権コンテンツの購入者660万人、保有コンテンツ4億5,000万点という数字を示しました。この数値がステッカーだけを指しているわけではありませんが、市場が単なる数種類のイラスト集から、巨大なデジタル素材の倉庫へと成長したことは示しています。
ここでは慎重さが必要です。公開資料だけでは、ネイバーブログ用ステッカーの年度別販売額や、クリエイターごとの平均収入を算出することはできません。根拠となる資料がないにもかかわらず、「数年で何倍にも成長した」と語るのは、分析ではなく飾りにすぎません。
私が見る限り、この市場の成長は三つの方向に表れています。
- キャラクターを飾るステッカーから、文章の目的をサポートするステッカーへと広がった。
- 個人作家だけでなく、地方自治体や企業も広報用キャラクターを投稿するようになった。
- ネイバー内だけで使われていたコンテンツが、他の販売チャネルや実物商品へと広がっている。
一つ目の変化は、商品の基準を変えます。表情がかわいいだけでは不十分で、ユーザーがどんな文章の前でその画像を取り出すのかまで設計しなければなりません。
二つ目の変化では、無料配布が広告と商品の中間的な形になります。行政機関や企業は無料ステッカーを配布して名前を知ってもらい、ユーザーはそのキャラクターをブログやカフェで繰り返し使います。広告の文言よりも、日常の中での利用のほうが長く記憶に残る場合もあります。
三つ目の変化は、ステッカーを単なるファイルのセットとして捉えなくするものです。ネイバー内で使われていたキャラクターが、別の販売チャネルや実物商品へつながれば、クリエイターは利用される場面そのものを広げられます。ただし、公開資料だけで、それぞれの方向の規模を個別に比較することはできません。
この市場がWordPressユーザーに示すこと
WordPressには、ネイバーOGQマーケットのような大型のステッカーボタンが標準搭載されているわけではありません。そのため、同じような効果を出すには、画像を自分で用意したり、絵文字やアイコンを適切な位置に配置したり、独自のデザイン体系をつくったりする必要があります。
だからといって、ネイバーの事例をそのままコピーする必要はありません。重要なのは、キャラクターそのものではなく、繰り返し使われる場面を見つけることです。
ブログ記事では訪問を歓迎する画像が必要になるかもしれません。商品紹介では、長所や注意点を示す小さなマークが役立つことがあります。レビュー記事なら、満足やおすすめ、再訪といった感情をすばやく伝えるイラストが有効です。
WordPressを運営する人が得られる教訓は明確です。かわいいキャラクターをやみくもに増やすより、まずはサイト上で頻繁に起きている行動を見つけるべきです。
ステッカーは文章の代わりにはなりません。その代わり、文章のテンポを調整します。長い文章の途中に小さな表情が入ると、読者は書き手の姿勢をすばやく読み取れます。
そのため、WordPressでキャラクターを使うときは、装飾よりもルールを先に決めることが大切です。同じ状況では同じ表情を使い、一度に多くの種類を出しすぎないようにします。ネイバーブログやカフェで売れているステッカーが、繰り返し使われることを前提につくられている理由もここにあります。
よくある質問
Q. ネイバーブログのステッカーは、ネイバーが直接制作している商品ですか?
A. 多くの場合、クリエイターが制作したコンテンツをOGQマーケットに登録し、審査を経て販売する仕組みです。ネイバーは、サービス内で利用できる場と流通環境を提供しています。
Q. ネイバーのステッカーを制作すれば、誰でもすぐに収入を得られますか?
A. いいえ。
コンテンツ審査を通過し、実際に販売されて初めて収益が発生します。精算の申請にも、最低金額などの基準を満たす必要があります。
Q. WordPressでもネイバーのステッカーをそのまま使えますか?
A. ネイバーのサービス向けに販売されたコンテンツは、利用範囲と著作権条件を確認する必要があります。ダウンロードした画像をWordPressへコピーする場合も、許可される範囲を確認してから行ってください。
参考資料
- ネイバーOGQマーケット開始に関する公式発表
- ネイバーによるOGQへの戦略的投資に関する公式発表
- ネイバーOGQマーケット人気チャート
- OGQクリエイタースタジオ精算ガイド
- OGQマーケット利用規約・収益分配ポリシー